ためしがき

燦燦とした陽光を網戸越しに覗きながら、ぷかぷかとタバコを吸って居る。十四時の空は雲一つなく、澄み切っていて、青々としていて、とても爽やかだ。その清涼さを感じる度、どうにも胸がきゅうっと締め付けられるような思いがして、死にたくて仕様がなくなる。

どうしてだろう?十四時の空は唯の爽やかな空なんかじゃあ、ない。もうすぐで暢気なお昼の終わり、夕暮れの入り口であって、それからあっという間に暗夜。そんな事を意地悪な顔して私に語りかけてくるような気がしてならない。いや、夜は夜で悪かない。寧ろ絢爛たるイルミネーションやら、けたたましい店先の看板やら、心躍らずにいられない性分。

本質は、ただ朝も昼も夜も四六時中何一つ変わらず、心の中の一箇所にぽっかりと空いたスキマ。こいつが昼と夜の変わり目になる度、ずきずきと痛むのです。

それは、恋をしていて埋められるものでなし。誰から愛を貰って埋められるものでなし。仕事をしていても、無為徒食の生活を送っていても、どこかで私の心は生きながら、死んでいる。(それでも身体はどうしても死ねない、というのはなんとも滑稽な皮肉)

いっとき、愉快な思いをして忘れていたって、それは唯の一時的な騙し治療。下手くそで意地悪な嘘。楽しいときが終われば、立ち代りに虚無がやってきて私をいじめる。

こうしている間に、八月も中旬。季節の変わり目にも、このスキマは特に痛むのです。