艶笑滑稽譚

正直、大して期待などもしていなかったのですが、Kが呼び出した三人の女の子たちは、三人ともかなりの上玉でした。

うち二人は明るい金髪と煌びやかなアクセサリーのよく似合う、とても派手な風貌でしたが、もう一人はというと、全く対象的。
さらさらとした黒髪に薄いメイク、淡いパステルカラーのワンピース。とてもしとやかな佇まいでした。しかも、大きな目と艶やかな唇が特徴的で、三人の中でも抜群の美人。

私は、彼女に一目惚れしていました。

改めてみんながテーブルに着座し、Kが乾杯の音頭を取ったあと、すぐに金髪二人組がまくし立てます。
「Kと同じ職場なんだ」「んじゃ地元もここ?」「年はいくつ?」「ずっと彼女いないの?」「結構イケメンなのにぃ」「可愛い顔してるのに」「もー一杯飲んじゃお」
……既にしこたま飲んでいた私は、呂律も回らず、「えー」とか「うーん」とかでしか応える事もできず、殆ど会話にもなっていませんでした。
それを見ていた黒髪淑女さんはというと、上品に酒を飲みながら、時折Kと一緒にクスクス笑ったりしています。

その笑顔の清淑さたるや、いつまでも眺めていたくなるような……

しかし楽しい時が経つのはあっという間で、ダーツをしたり、Kの無茶振りに応えたり、また他愛のない話をしていると、すぐに夜は明けてしまいました。

ああ、とても満足な夜を過ごせたな……などという事を一人考えていると、Kが突然、思いもかけなかった言葉を発します。
「あ、煙草買いにいかないと。ちょっ、ちょっと君ら二人で待っといて。どうせ帰りはタクシーだし」
私は一瞬、冷や水を掛けられたような思いでしたが、Kと金髪令嬢二人組のニヤついた顔を見て理解しました。
下心というものは、それはもう、とっても、隠しきれないものですね。

半ば強制的に二人きりにされた私たちでしたが、……まぁ「色々」ありまして、それから、数十分もしてからK達が帰ってきて、茶化したような表情で言います。
「で、どうでしたかお二人は?」

私は一言、「……タバコを一本くださいな」