2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

頬杖日誌

今朝の朝食は、プレーンオムレツと二枚の薄いハム、主菜はバターロールが二つで、付け合わせは蜜柑とレーズンの入った白菜サラダだった。病院食は薄味で美味しくないという人が多いらしいが、実際は質素で優しい味付けなだけで、いつもお家で食べている朝食…

頬杖日誌

ふっ、と目を覚ます。本当に「ふっ、と」と形容するのが相応しいような、自然で、清涼とした目覚めだった。いつもの、所謂「朝の忙しさ」というやつに否応無しに起こされるわけではなくて、また、変な夢を見て、そいつから引き剥がされるようにして起こされ…

ためしがき

燦燦とした陽光を網戸越しに覗きながら、ぷかぷかとタバコを吸って居る。十四時の空は雲一つなく、澄み切っていて、青々としていて、とても爽やかだ。その清涼さを感じる度、どうにも胸がきゅうっと締め付けられるような思いがして、死にたくて仕様がなくな…

夏希

ベランダの柵に身を乗り出し、夏を眺めていた。背の高いビルをてらてらと照らす炎のような夕焼け。生暖かい風に揺れる緑黄の木々の葉。道を行き交う浴衣姿の人たち。茹だるような三十五度に汗を垂らしながら、それらの光景を眺めていた。夏は私が生まれた季…

艶笑滑稽譚

正直、大して期待などもしていなかったのですが、Kが呼び出した三人の女の子たちは、三人ともかなりの上玉でした。うち二人は明るい金髪と煌びやかなアクセサリーのよく似合う、とても派手な風貌でしたが、もう一人はというと、全く対象的。さらさらとした黒…

艶笑滑稽譚

私は、バーなどという小洒落た店で飲むのはこれが初めてでした。そもそも、普段から酒など殆ど嗜んでいないのですから。いつもなら仕事を終えたあとは真っ直ぐ家へ帰り、風呂に入り、飯を食べて、それからすぐに就寝してしまうわけです。とっても高そうな酒…

艶笑滑稽譚

私は生まれてこの方二十三年、僭越ながらも、他の誰よりも生真面目に人生を歩んできました。犯罪の類は無論のこと、背徳に対しては人一倍敏感でしたし、これも僭越ではありますが、勤務態度も、きっと、同期の中で一番評価されてるであろうと自負します。と…

或る孤独な青年の体験記としての合法ハーブ 下

鬱屈で散々たる生活に俺が望んでいたのは、こういった安易で直感的な快楽だけだった。全身に、それも爪の先まででろんとした薄い皮膜が貼ったような感触を覚る。局部麻酔を少し優しくしたような、心地よい痺れだ。そして問答無用に脳髄が覚醒する。いつもの…

或る孤独な青年の体験記としての合法ハーブ 上

一仕事終えたデリヘル嬢を乗せた黒塗りのセダンが目の前の道路を走り過ぎ、盛りのついた2匹の猫が互いに求愛の鳴き声をあげるをの、ベランダに設置されていたエアコンの室外機に腰掛け眺めていた。窓を開け、寝室に戻る。ついさっきまであった愛おしくもイン…